審判/カフカ-わかる。わかんない。わかる。
嗚呼先生、アニメジャパンに、行きたいです・・・!
去年行ったんですよ。アニメジャパン。レイヤーさんとか沢山来てましたし、来期アニメのトークセッションとか、新ゲームを声優陣がプレイするとか、イベントも盛りだくさんで、アニメの各ブースもしっかりしてました(ANIPLEXがあつかった気がする)。勿論グッズ系も盛りだくさん(高いがな)!
相当楽しめるイベントなので、興味がある人は是非(^ω^)
では、本題(・∀・)
今日はこちらです!
- 作者: カフカ,Franz Kafka,辻セイ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1966/05/16
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 88回
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カフカの「審判」!
カフカは「変身」を随分前に読んで以来だったので、久しぶりにあの独特の世界観を楽しめると思って期待して読み始めました!
20世紀最大の作家、カフカ
その期待が最終的にどうなったかは追々明らかにしていくとして、とりあえずカフカさんを軽く紹介します(・∀・)
カフカは現チェコのプラハで1883年に生まれ、結核に罹って1924年に亡くなっています。
生前の評価は決して高くありませんでした。
そもそも作品を殆ど出版していないんですね。有名なものだと「変身」、そして「判決」などしか刊行しませんでした。
しかし彼の死後、友人たちが彼の手記を整理して、「城」や今回記事にする「審判」などを刊行し、また彼らがカフカの批評を出版することで、カフカはより広く認知されるようになっていきました。
最初に人気に火が付いたのは、地元のドイツではなくフランスでした。フランスのシュルレアリスト達(特にアンドレ・ブルトン)が、彼の作風にシュルレアリズムの兆しを見たらしいです。(あまり詳しくないので少し語弊があるかもしれませんが・・・)
じわじわとその人気は世界中へと拡大し、最終的にはサルトル、カミュ、サリンジャー、安部公房、村上春樹など、後世の作家に与えた影響は計り知れません。
現代ではジェームズ・ジョイス、そしてプルーストと並び、20世紀最大の文学作家と称されるまでになっていますね。歴史に名を刻みこみました。いいなあ。
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わからない・・・てことは、わかってる?
そろそろ読んだ感想について書きたいのですが・・・
正直に言って、
「よくわかんない!」
と思いました(笑)
何がわかんないかというとですねえ(若干ネタバレします)、
・なぜKは逮捕されたのか
・どのような審理のシステムが取られているのか
・なぜKは処刑されたのか(最初の問いと似ていますが)
っていうのが大きなところでしょうか。
もちろん「逮捕の理由は明らかにならない」的なことは物語の中で繰り返し言われることなのですが、明確な逮捕理由はともかく、Kが犯した罪のタイプすら全くわからないというのが不可解です。本当に何もわからないまま処刑されて「はい、終わり」っていう話なので、正直読み終えた直後はぽかんとしました。
でも、わからなくて良かったんじゃないのか、とも思えるんです。
僕が上でぽかんとしたのは、「物語に真相が隠されている場合は、必ず結末までには明らかになるものだ」という前提を持って読み進めたからなわけですね。
だけど、そもそもそういう読み方をする必要なんてどこにもないわけです。
そう考えていくと、
「複雑で肥大化した機構に巻き込まれた個人が、限られた情報の中で四苦八苦しながら問題解決のために動き回る(問題が何なのかわからないまま)ものの、そのシステムの原理、解決の要点を掴むことはとうとうできずに機構に潰されていくという物語を徹底して書ききった」
という見方も出来るのではないのか、と思うんです。
その徹底した表現を与えられた読者は、物語内部の秘密に辿り着けないままに「ぽかん」という読後感に苛まれるのは当然と言えば当然なのだな、と思いました。
(「自分が読んでわかんなかったからって、回りくどい理由を付けて誤魔化そうとしているな、コイツ」と思った鋭い方には特に読んでもらいたいです!w)
わからなさ、奇妙さの魔術師
なんか大それた章立てをしてしまいましたが・・・(笑)
僕が言いたいのは、そもそもカフカって「わからなさ」を意図的に物語に組み込んでいる、というか世界自体を「わからなさ」に満ちたものにわざとしている気がするんです。
例えば、まあこれは「変身」の話ですけど、ザムザ氏はある日突然虫になっているわけじゃないですか。
勿論「え、なんで虫になっちゃったの?」っていう「わからなさ」がありますよね。
これも特に明らかにならない。
でももっとわからないのは、「え、なんで虫になっちゃったのにそんなに冷静でいられるの!?」っていうザムザ氏のメンタリティですよ(笑)
物語なんて基本そんなものかもしれません。最初はどこか違和感があるものの、読み進めて行くうちに「ああ、この世界ではこれが普通なんだ」という風に読者は順応していくんだと思います。
でも、カフカの場合それが多すぎる。物語の根幹以外の場所に多すぎる。
「審判」に戻りますが、ビュルストナー嬢という女性がKと同じアパートに暮らしているのですが、Kは突然ビュルストナー嬢にキスをするわけです。
ほとんど唐突です。意味がわかりません。
また、ある学生がある奥方に恋をするのですが、彼は夫が側にいようがいなかろうが、その奥方に始終べったりで、挙句の果てにはお姫様抱っこをして連れ去るわけです。
一応判事のところへその奥方を連れて来いという命令があったようなのですが、それにしても、どれだけ好きでも、いきなりお姫様抱っこは意味が分かりません。
こういう奇妙な部分というのは山のようにありますし、それは登場人物たちのもつ奇妙さ・奇怪さ・滑稽さに依存する部分が大きいように思います。
ただ、基本的に滑稽な人達に埋め尽くされた物語であるにもかかわらず、この作品にはどこか生々しさや恐ろしさというものがこびりついています。
こうした両者の謎めいた活用が、カフカのユニークな世界を構築するのに役立っているのでしょうか。
あとはまあ、こういう不思議さが多くの批評家たちからの多様な考察を集める理由のひとつでもあるんだと思います。(デリダ、ベンヤミン、アドルノ・・・錚々たるメンツです)
- 作者: カフカ,Franz Kafka,辻セイ
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それでは!!