高慢と変態

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面白い記事って何なのか、「ニコ動」社長に教わった

どうも、乃木坂の夏の全国ツアー、明治神宮のチケットが取れて穏やかに喜んでる僕です。いやあ、言うても8月30日なんでまだ実感湧かないと言うか、狂喜乱舞するには時間的に遠かったです。でも嬉しい。穏やかに。

 

今日は読書メモというか、読んだ本の感想です。

 

川上量生「コンテンツの秘密」

コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)

 

どんな本なのかと言うと…

ざっっくり言うと、「情報量」「コンテンツ」について書かれてる

「情報量」っていうのは、当たり前なんですけど、まさに「情報の量」のことです。

そして「コンテンツ」というのは、まあ「メディアの中身」ってところで良いんじゃないかと思います。テレビ番組とか、ブログの記事とか、Youtubeの動画とか、そういうのをイメージして貰えれば。

これね、新書なんですよね。税込で930円くらい。だけどもね、情報量は新書のレベルを超えてる。「情報量」と「コンテンツ」について書かれた、「情報量」の豊富な「コンテンツ」が本書です(笑)

 

筆者はニコ動の社長!

割と有名だとは思いますが、知らない人もいると思うので軽く説明すると、筆者の川上さんは、ニコ動、そしてかつては着うた配信で名を知られていた、株式会社Dwangoの社長(ついさっきまで会長だったのに、「会長だったよな?」と念のためググってみたら緊急人事の速報が…!!)です。

まだ46歳ですけどね、メディア業界では最も有名と言っても過言ではないほどのサイトを運営している企業を立ち上げた本人で、数多く出版物を刊行しているものを読む限り文才もある。「メディア」と「コンテンツ」について語るにはこれほど適当な人もいないでしょう。

 

「主観的情報量」が大切

早速本の内容について説明します。と言っても、僕にとって有益な部分しか書きませんし、引用とか面倒なのでアバウトな進め方になりますけど容赦くださいw

そもそも「面白いコンテンツ」って一体なんだろう?って話があって。川上さんが問題提起するわけですけど、その提起のきっかけとなるのが、彼が1年間(2年だっけ?)プロデューサー見習いとして働いた(Dwango会長を務めながらw)あのジブリでの経験です。

「なぜジブリ作品は面白いのか?何度も見ることができるのか?」という疑問から、みるみるコンテンツの本質を明らかにする考察は素晴らしい(論理展開はなんだか微妙だなという印象を持ちました。細部の論理に拘ると先に進めないので、とにかく一回全体を読んでみたほうがスッキリすると思います)。

 

結局のところ「情報量が多いんだ」と。しかしそれは単なる「情報量」じゃない。一枚の絵の描写に対して大量の線を書き込んで複雑にするとか、そういう話ではない。そういうのは「客観的情報量」が高いだけで、重要なのは「主観的情報量」なのだと言います。

例えば、「似顔絵」。似顔絵は、客観的には全く本人に似ているわけではないというのは写真と比べることを想像するだけでわかることですが、なぜか私達は「似てる」と思ってしまう(ことがある)。それは何故かといえば、人間はある事物を「そのままに」見ているのでは決してなく、外界の事物からの光が網膜に投影されたことによって発火するシナプス、つまりは脳が作り出すイメージに変換されたものを見ているからなのです。その変換の過程で、印象の薄いものは事物から剥がれ落ちていき、残るのは強いイメージなのです。つまり抽象化されているわけです。だから、似顔絵のような顔の特徴の一部を際立たせるような絵は、人間の情報処理にピタリと合致しているというわけです。

だから、敢えて写真と似顔絵という対比で言うならば、写真は「客観的情報量」が高いけれど、「主観的情報量」が高いとは限らない(写真うつりが悪いとか、なんか違う、と思うのはそういう事情のせいかも)。そして似顔絵は「客観的情報量」は言うまでもなく低いものの、「主観的情報量」、つまり人の印象に残る情報の量は大きいのです。

 

ーーーーーーーーーーー以下、仮説ですーーーーーーーーーーーーー

「主観的情報量」が大きい=差が大きい

以前大学の授業で認知心理学を勉強しました。基本的に人間というのは「差異」しか認識できないそうです。絶対的な「黒」とか「白」っていうのは人間には理解出来なくて、場合によって「黒」だったり「白」だったりするわけです。

僕が授業で見たのは、まずスクリーンに真っ黒な映像が投影される。すると画面の中央辺りに小さな白い正方形が現れる。「これが白だと思う人」と教授が質問するので、僕は手を上げる。しかしその白だと思っていた正方形の隣に、より白い正方形が出現する。その時、今まで白いと思っていた正方形は、いまや灰色にか見えなくなる。再び教授が「こっちが白だと思う人」と言い、僕は手を上げる。すると更に白い正方形が…

といった感じで、結局僕達は差の中でしか認識が出来ない仕組みを脳に抱えているようなのです。こればっかりは疑いようがない。これは僕達の認識の働きだから。

 

主観的情報量というのも、僕達が主観的に受け取る情報量なのだから、結局は僕達が受け取る「差」ということになるでしょう。ジブリで確かめてみることにします。

崖の上のポニョ」のポニョ、彼女のイラストにはそのコツが隠されているそうです。

ポニョの絵はまっすぐな線では、描かれていない。そこにコツが隠されていて、あえていびつな線で描くことで、「引っかかる」絵にしているそうなのです。ここで言う「引っかかる」ってどういうことなんでしょうか。「普通キャラクターの顔は直線的、少なくとも滑らかな線によって描かれている」ということと比べて、「引っかかる」ということなんです。つまり、他と違って目立つわけです。そういうものは飽きられないのだ、と言います。

確かに僕達は似たようなものは「同じだな」と思って、それぞれを違うものとしてしっかりと認識しようとはしません(どんなものをどれだけしっかり認識するか、というのは人によって違いますが)。だから目立たせたいのであれば、当たり前ですが他とは違う、真似できないものを作る必要があるのです。

ジブリ映画が何度も見られるのは、「他では見られない絵が、雰囲気があるから」でしょう。ストーリーという要素も重要だとは思いますが、著作の中では「脳内において反復可能だから何度も見させる要素としては弱い」ということでしたので、ここではおいておきます(そうかなあ?という感じはします)。

 

で、これは「視覚」のレベルだけじゃなくて、等しく「意味」のレベルでも当てはまると思うんですよ。

よく大学受験の「現代文」対策で、「接続詞に注目しろ」とか「AではなくB」というのはBが重要で…とか言った話を先生がすると思うんですが、こういうのは筆者が「わかりやすいだろう」と思ってやってるわけです。実際読み手としてもわかりやすいのは間違いない。これは言うまでも無く「対比=差異の明確化」なわけです。

 

これってブログにも使える話だと思ってて。

で、ですよ。ブログって、読者が「面白い」と思ってくれるのが一番うれしいことだと思うんですけど、その「面白い」もまた主観的な認識に基づいているわけですよね。そう考えると、今まで話してきた「主観的情報量=差異」っていう考え方が絶対ヒントになっているはずなわけですよ…

 

で、「面白い」って何かって考えると、要するに「自分の心が動かされる」か、「欲求を満たすことに役立つ」かのどっちかだと思っています。前者なら「笑える」「びっくり」「泣ける」とかね。後者なら「雑学」とか「ビジネススキル」とか「どうしたらモテるのか」とかですよ。

だとすると、ブログのテーマとしては「この記事は読み手の感情に訴えかけるものかどうか」、若しくは「この記事は読み手の役に立つかどうか」っていう点を考える必要がある。本気でブログをやっていきたいのであれば。

 

そして、本当に「読み手の感情に訴えかける」ためには、「読み手の感情に訴えかける」ような文章を、主観的情報量を最大化する形で書いていくことが求められる。「お役立ち」でも同様です。そこで「差」が大事だということがわかってくる。つまり、

「A子はB男が好きだった。告白した。振られて悲しかった」

とするよりは、

「A子はB男が好きだった。目が合えば、緊張して気絶してしまいそうになるくらいだ。募りに募った恋心に我慢できず、思い切ってB男に『付き合ってください!』と告白した。するとB男は気まずそうに『ごめん、他に好きな人がいるから』と言って去って行った。A子は泣き崩れ、廊下に悲痛な嗚咽を響かせた」

と書いた方が、感情の動きがわかりやすいし、読み手も感情移入がしやすいわけです。

 

だからといって、むやみに大袈裟な表現をしていればいい、というわけでもないですよね。ひとつには「本当かどうか」みたいな誠実さを問われる場合もあるでしょう。しかしさらに重要なことは、「その方向性に、読み手は本当に関心を持っているのか」というのがずれていては元も子もないのです。

 

タイトルが気になって幸い記事を読んでくれたとしても、その記事が「なんか違ったな」と思われれば、その人は二度と訪れてくれないかもしれません。結局は「その人にとってどれだけ価値を提供できるか」という意識を常に持てるかどうか、に係っているんだと思います。

 

そうは思うものの、仕事でそういうことして、趣味のブログでもそこまで大変な作業をして、というのは疲れるので、僕は自己満ですら~っと書いていく所存ですけどね(逃避)

 

 

ずいぶん前のことになりますが、乃木坂46がananの表紙でセクシーショットを掲載して、賛否両論が巻き起こったとか。

 

an・an (アン・アン) 2015/05/27号 [雑誌]

 

 

いいと思います。