【読書メモ】この法則でゾーンに入れる!-集中「脳」の作り方
まず「ゾーン」とは何か。
何かに「没頭」している状態のこと。
いつの間にか時間がかなり経っていたり、周囲の音が聞こえなくなるくらい何かに集中している状態のこと。
プロサッカー選手やプロ棋士なんかには珍しくもない状態らしい。
「ゾーン」に入ることの意義。
茂木さんはモーツァルトを引き合いに出している。
モーツァルトはものすごい多産家で、尋常じゃないスピードで膨大な数の楽曲を作り上げていったが、だからと言って、ひとつひとつの作品のクオリティが低いかといえばそんなことはなく、周知の通り、歴史に名を残す音楽家となった。
つまり、「質」と「量」を両立させる、「クオリティ」を上げたからと言って、「スピード」が落ちる訳でもない、そんな卑怯とも言える実力を発揮できる状態なのだそうだ。
「ゾーン」に入るには(理論編)
「ゾーン」とはまずもって「集中」の結果である。
そして「集中」とは「選択」の結果である。
「選択」という行為の前提として、
・複数の選択肢が存在していること
・選択するのだという「自覚」を持つこと
があるだろう。後者に関しては少しわかりづらいかもしれないが、自分で何をすべきかを自覚した上でなければ、あっちこっちに意識が移ってしまうために、「集中」が出来ないのだ。
したがって、
・ノイズのある環境下でこそ発揮できるもの
・メタ認知が重要
なのだ。
「ゾーン」に入るには(実践編)
・自分を客観視する
これはよく言われるわけだが、プロ棋士の羽生さんは、集中している時、自分を天井からいているような感覚になるらしい。また、これは個人的に浮かんだのだが、一流のプロサッカー選手には、どう考えても見えないだろうという角度に味方選手がいることを「どうにかして」知り、相手の裏をついたパスをすることがあるが、これももしかすると、見える範囲の動きから、見えない場所の動きを「尋常じゃない」集中力によって予測しているからなのかもしれない。実際、フロー状態に入れるような人というのは、「周辺視野」が広く、かなりの認知力を持っているそうだ。
「ゾーン」に入るための最初の一歩としては、やはり自分が何に集中しようとしているのか、そしてどれくらい自分が今集中出来ているのかに関するメタ認知を強化していくことが何より大切なのだ。これは理論における「自覚」を意味する。
・雑音の多い環境下で集中の練習をする。
これは理論における「選択肢の存在」を意味する。日常生活はノイズに溢れている。Twitter、LINE、テレビ、漫画、音楽、友達とのおしゃべり...こうした情報の氾濫の中で、自分にとって価値があるものに集中するということは並大抵のことではない。
したがって、集中のトレーニングも、日常に近い環境下で行う方が良いのだ。例えば、自分の部屋で勉強する習慣を持つ子供と、宿題などを居間でやる子供とでは、後者の方が成績が良いと言う研究結果も出ているらしい。また、女子レスリングの合宿では、夜部屋のテレビを点けたまま寝ることが義務付けられている(いた?)ということだ。
ただ、あまりにもそのノイズが大きければ、やはり集中そのものが出来なくなってしまうので、集中がぎりぎり出来るレベルを見極める必要があるのだろう。
・タイムプレッシャーを使う。
「タイムプレッシャー」とは、何かをやる際に制限時間を設けることである。こうすることで、まず「それをするのだ」というメタ認知が強化されるので、集中のスイッチが入る。また、達成困難な時間制限を与えられることで実力の限界を出さざるを得ないために、非常に濃密な集中を要求されるのだ。これと似た練習法として、「ゲーミフィケーション」が挙げられている。あるものをゲームとして「捉える」ことでメタ認知が作動するとともに、「ゲーム」における報酬が設定されたりすることで楽しみが付与され、やる気が高まることが、集中力の強化に繋がるということだ。
以上、簡単に本書の流れを書き留めた。
既に読後8時間ほど経っており、200ページくらいの本を1時間ほどで読んだ割には、かなり覚えている気がする。
それは、茂木健一郎の本の良さなのだと思うが、そうした「ゾーン」に入ることを実践させるような本でもあるということだからではないだろうか。
「ゾーン」に関する内容を、そこに書かれた方法論によって「ゾーン」に入りながら読ませるという、一種メタ的な本だな、と思った。
最近「集中」ということに関してかなり悩んでいたので、出来る限り実践し、効果を検証していきたい。